「ブランドって何?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
なんだかフンワリとしていて、明確に言葉に表すことのできない「ブランド」という概念。
この記事では、
■ブランドの定義とは?
という問いに対して現役の消費財マーケターとして明確な答えを提示していきたいと思います。
Contents
ブランドとは
結論、
ブランドとは、「消費者の頭の中に醸成された意味」のことです。
中身は同じでも消費者の頭の中に意味が醸成されていると、消費者が感じる価値は全く違います。
自動販売機で買うコカ・コーラは150円ですが、リッツカールトンのホテルバーで飲むコカ・コーラは1000円。
中身は同じでも、リッツカールトンというブランドイメージ(意味)が消費者のコカ・コーラに対して感じる価値を高めているのです。
これはリッツカールトンが長年培ってきたブランド醸成効果です。
消費者の頭の中に、「リッツカールトンはお客さんのことを第一に考えてくれるホスピタリティの素晴らしいホテルである」という意味を積み上げ続けてきたのです。
ブランドは利益になる
ブランドは利益に直結します。以下の数式を見てみましょう。
商品=製品+ブランド
売価=原価+利益
原価に利益がプラスされて売価になる構造は当たり前ですね。また、工場で生産された製品にブランド価値がプラスされて商品になるという構造も納得できるでしょう。
売価は商品、原価は製品に対応するので、すなわちこの構造からブランド=利益という等式が導かれるのです。
もちろん有形の製品だけでなく無形サービスでもこの構造は不変です。企業視点でのサービス・製品に対してブランド価値を付加することで、消費者に届く商品・サービスになるのです。
ブランドは高いだけではない
ブランドと聞くと高級なイメージがあると思います。しかしそれだけがブランドではないということをしっかり認識しておきましょう。
例えばドンキホーテと聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「ゴチャゴチャしていて安くて掘り出し物がありそうなイメージ」
ではありませんか?これは、まさにあなたの頭の中に蓄積された意味なのです。
安いというイメージも1つのブランドになり得るのです。
ブランドはずらして作れ
ブランドイメージ(意味)を作り上げることが、競争優位の源泉になることは分かっていただけたと思います。
ただ他の商品やサービスが持っているブランドに限りなく近いモノを作り上げてしまうと消費者の頭の中で複数のブランドが同じ意味を持つことになり、消費者が自分のブランドを選択してくれる可能性は低くなります。
消費者は同じ意味を持つブランドを複数選択しません。
そのためブランド醸成の際はなるべく他のブランドとずらした意味を作り上げることが大事です。
コカ・コーラとペプシは一見似ているようで違う意味を醸成しています。
コカ・コーラはアメリカの象徴でありどんな時も寄り添う普遍的な飲み物のイメージ。ペプシは少しヤンチャでチャンジングなイメージ。
同じカテゴリーに属した競合ブランドでも、ブランドイメージを紐解いてみると違いが見えてきます。
ブランド戦略はよっぽどのことがない限り変えない
ブランド戦略を根本から変えてしまうと、それまで築き上げてきた消費者の頭の中の「意味」が一気に崩れ去ります。
よっぽどの転換が求められる時でない限りブランド戦略は変えてはいけません。
実は、ペプシがコカ・コーラに対して攻勢を仕掛けたタイミングがありました。
ペプシとコカ・コーラを消費者に目隠して飲んでもらい、その味の美味しさを比較してもらったところペプシの方が美味しいと答える人が多かったというコミュニケーションを展開したのです。
それに対してコカ・コーラは危機感を感じ、味の改良を行いました。消費者調査を重ねて今までの伝統的な味から、より甘くて飲みやすい味に変更したのですが・・・
結果は逆効果。
コカ・コーラの昔ながらの伝統的な味は、アメリカの象徴であり、ふとした時に飲みたくなるアメリカ国民の安心の拠り所。
その味が変わってしまったことにより、今までコカ・コーラが築きあげてきた意味が崩れ去り一気にシェアを失ってしまったのです。
その後、味を戻し以前のブランドイメージを徹底的に守り抜くことでもう一度強いコカ・コーラが戻ってきたのですが、この話はいかにブランドイメージをぶらさないかが大事であることの教訓になりますね。
まとめ
ブランドについて今まで漠然としていたのが、段々と明確になってきたかと思います。
最後にブランドについて簡単にまとめておきましょう!
■ブランドとは「消費者の頭の中に醸成された意味」である
■ブランドは利益の源泉
■ブランドはずらして作る
■ブランド戦略は変えない
ブランドの概念を理解しておくことで必ずビジネスに活きてきます!
少しでも参考になれば嬉しいです。
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